家族療法

支援者や専門家の方へ

「さよならのない別れ」であっても「別れのないさよなら」であっても、家族は「喪失の状況のあいまいさ」に非常に苦しみます。喪失の受けとめ方は家族ひとりひとりによっても異なるため、家族の中でその喪失の話題が避けられ、お互いをサポートすることを困難にします。

 

 家族の皆が深い悲しみをもっているのにもかかわらず、ある人はお風呂で、ある人は寝室で、それぞれがひとりで泣いています。家族がばらばらになってしまう状態です。結果的に、このような家族機能の低下は、家族ひとりひとりの悲嘆を凍結させてしまいます。家族の中でも孤独で、孤立してしまう状態が、あいまいな喪失からの回復を一層進みにくくするとPauline Boss博士は述べています。

 

  Boss博士は、あいまいな喪失を「家族療法」の立場から支援します。「あいまいな喪失」によってその家族にどのような変化が生じたのか、今の家族の機能はどうか、喪失によって家族ひとりひとりの役割がどのように変化したのか、家族の日常生活や慶弔事などはどう変わったのか、これらの事を家族一緒の場で話し合い、家族としてこれからどのように生きていくかを支援します。

 

 個人ではなく家族全体に働きかける「家族療法」という方法が、 「あいまいな喪失」の支援には極めて有効なのです。