ジェノグラムの活用

支援者や専門家の方へ

ジェノグラムは多世代家族構成図とも呼ばれ、家族メンバーの構成を描き、関係性を図式化するものです。Pauline Boss博士は、あいまいな喪失を経験している家族を理解し、見立てを行う時に活用することを勧めています。

 

災害前後の二つのジェノグラムを比較すると、家族のなかで起こった変化が見えてきます。例えば、災害前後で同居家族がどのように変わり、役割がどのように変化したのかなどが浮き彫りにされます。

 

たとえば図1は、災害前の父・母・長女・長男の4人家族のジェノグラムを表しています。

(これは実在する事例ではありません。)

 

 

図2のように災害で母親が行方不明になった時、一番上の長女(姉)が母親の役割をとって家族の窮地を救うことがあります。一方、そのような状態が長期的に続く場合、きょうだい関係や親子関係など家族全体への影響を考えてみる必要がでてきます。

 

 

ジェノグラムを描き、家族全体を一単位としてとらえてみると、姉が頑張っている影で他の家族メンバー(たとえば弟)に問題行動がみえることがあります。その弟を個人の視点から捉えると、「問題を抱えた子ども」と見られがちですが、ジェノグラムを比較すると、災害の発生によって大きく変化した家族・きょうだい関係や相互の役割と、深く関連していることが見えてきます。

 

たとえば、仲がよかった姉が災害後、突然親のように命令口調で接してくることに、弟は反発しているのかもしれません。母親の行方不明に戸惑い、心細い思いを語れるはずの姉とのきょうだい関係を失った弟は、もしかすると「問題行動」という形でグリーフ(悲嘆)を表現しているかもしれません。さらに数か月経つと、父親が弟の問題行動への対処に直接関わりだし、そのことで姉の役割にも変化が見られるかもしれません。弟の問題行動を発端に、家族関係が少しずつ変化していく過程は、その家族のレジリエンスともいえます。

 

このようにあいまいな喪失を体験している家族のジェノグラムを見ていくと、家族の発達段階を視野にいれて、その家族のもつ回復力・レジリエンスに注目しながら、支援を考えることができます。