複合するあいまいな喪失

支援者や専門家の方へ

あいまいな喪失を支援する際、「その方が何を失ったのか」を整理することが重要な場合があります。

 

例えば、原発事故で故郷の町から強制的に避難することになった場合を考えてみましょう。その方は何を失ったのでしょうか?

次のようなことが考えられるかもしれません。

  • 住んでいた家を失った
  • 住み慣れた家での家族の和やかな団らんを失った
  • 草花を大切に育てていた庭を失った
  • 会えば気軽におしゃべりをしていた近隣の人たちを失った
  • 家族とともに住み、満足感や幸福感を感じていた生活を失った

そのほかにもたくさんあるかもしれません。

 

Pauline Boss博士は、「人は、失ったものがはっきりしないと、悲しむことができない」と言います。支援の中で、体験した数多くの喪失を一緒に確認する作業が、逆に重荷を軽くし、ストレスを軽減させることがあります。支援者は、そのような作業を通して、悲しみに伴走するのです。