別れのない「さよなら」とは

別れのない「さよなら」

Pauline Boss博士は、あいまいな喪失のもう1つのタイプを、別れのない「さよなら」(=Goodbye without Leaving)と名づけました。「身体的には存在」しているけれども、その人は以前のその人とはすっかり変わってしまい、「心理的には不在」と感じられる喪失をさします。

 

たとえば、認知症、薬物やアルコール依存、抑うつ、その他の精神疾患、頭部外傷後などがそれにあたります。また、東日本大震災の福島では「故郷の町は以前とはすっかり変わってしまった」という現象が起こりましたが、このような場合も、別れのないさよなら(あいまいな喪失のタイプ2)にあてはまると考えられます。