「あいまいな喪失(ambiguous loss)」とは かけがえのない人や物を失うことを「喪失(loss)」と言います。「喪失(loss)」を経験すると、多くの場合、その直後は悲嘆反応という悲しみの反応が出現しますが、時間の経過とともに少しずつその悲しみから回復していきます。悲しむことは、とても自然なことです。 「あいまいな喪失(ambiguous loss)」は、その喪失自体があいまいで不確実な状況のことをいいます。Pauline Boss博士は、この「あいまいな喪失(ambiguous loss)」を「はっきりしないまま残り、解決することも、決着を見ることも不可能な喪失体験」と定義しました。そして、通常の喪失と異なり、あいまいな喪失の中にある人は、終わりのない悲しみのために、「前に進むことができなくなってしまう」と述べました。 また、あいまいな喪失の状況では、しばしば「私は誰なのか」ということがわからなくなります。 夫が行方不明の時、「私はまだ妻なのか、そうでないのか」、農業に従事する人が原発の影響で仕事ができなくなった時、「私はまだ農夫なのか、そうでないのか」といったように・・・。 あいまいな喪失では、自分のアイデンティティや役割が脅かされるといわれています。 「あいまいな喪失」によって失われるもの 大切な人(もの)の不在のために、それまであった関係性(relationship)や愛着(attachment)が失われます その人(もの)の未来とともに、自分の未来がきっとこうなるだろうという確実性が失われます 人生を自分でコントロールできるという感覚が失われます 将来への希望や夢が失われます アイデンティティや、妻としての役割・子どもとしての役割といった自分の役割が失われます 世界が安全な場所であるという信頼感が失われます
「あいまいな喪失(ambiguous loss)」とは
かけがえのない人や物を失うことを「喪失(loss)」と言います。「喪失(loss)」を経験すると、多くの場合、その直後は悲嘆反応という悲しみの反応が出現しますが、時間の経過とともに少しずつその悲しみから回復していきます。悲しむことは、とても自然なことです。
「あいまいな喪失(ambiguous loss)」は、その喪失自体があいまいで不確実な状況のことをいいます。Pauline Boss博士は、この「あいまいな喪失(ambiguous loss)」を「はっきりしないまま残り、解決することも、決着を見ることも不可能な喪失体験」と定義しました。そして、通常の喪失と異なり、あいまいな喪失の中にある人は、終わりのない悲しみのために、「前に進むことができなくなってしまう」と述べました。
また、あいまいな喪失の状況では、しばしば「私は誰なのか」ということがわからなくなります。
夫が行方不明の時、「私はまだ妻なのか、そうでないのか」、農業に従事する人が原発の影響で仕事ができなくなった時、「私はまだ農夫なのか、そうでないのか」といったように・・・。
あいまいな喪失では、自分のアイデンティティや役割が脅かされるといわれています。
「あいまいな喪失」によって失われるもの