情報提供・心理教育

支援者や専門家の方へ

「あいまいな喪失」の中にいる人たちは、その喪失にうまく対処できない自分に対して、どこか自分たちに問題があるのではないか、と不安を持っています。それと同時に、周囲の人から言われる言葉に対して、意識的・無意識的に恐れています。例えば、家族が行方不明の場合、「もうそろそろあきらめたら・・?」といった言葉に対してです。その恐れのために、周囲の人々を遠ざけてしまうことが多いといわれています。

 

 「あいまいな喪失」では、誰もその喪失を確定することができません。それが事実です。支援する方も、そのことを前提に支援をして下さい。その人のもつ不安を減らそうと、「白黒つける」ことを勧めたり、「そっとしておこう」とその喪失がなかったように振る舞うことは、支援にはならないのです。 

 

「あいまいな喪失」の支援では、情報提供や心理教育が、重要な支援手段の1つです。置かれている状況の大変さを理解した上で、例えば、

 「喪失を受け入れられない、なかなか前に進めないと感じることは当然のことで、あなたに何か問題があるわけではないのですよ。」

 「周囲の人たちと、あるいは家族の中でも、ひとりひとりの捉え方が異なっても、まったく構わないのですよ」

といったことを、何度も伝えることが大切だといわれています。

 

また、安心できる人との結びつきを少しずつ取り戻していけるように支援していきましょう。そのような人とのつながりは、その人自身が自分の力で、あいまいな喪失に対処していくことにとても役立ちます。